8.橈骨神経麻痺
症状
橈骨神経の上腕部での傷害では、親指、ひとさし指、中指の手の甲から前腕の親指側の感覚の障害が生じ、手首と指が下がった状態(下垂手)になります。
橈骨神経の肘での傷害(後骨間神経麻痺)では、指のみが下がった状態になり(下垂指)、感覚の障害がありません。前腕から手首にかけての比較的浅いケガの場合は、感覚の障害が生じますが、下垂手にはなりません。
原因
上腕部での麻痺の原因は、開放創や挫傷、上腕骨骨折や上腕骨顆上骨折などの骨折などにより生じます。
肘での麻痺の原因は、ガングリオンなどの腫瘤、腫瘍、モンテジア骨折(尺骨の骨折と橈骨頭の脱臼)などの外傷、神経炎、運動のしすぎによる絞扼性の神経障害などが原因となります。
予防と治療
原因が明らかでないものや回復の可能性のあるものは保存的治療を行います。骨折や脱臼などの外傷や腫瘤によるものは手術が必要となる場合があります。3ヵ月ほど様子を見て全く回復しないものや麻痺が進行するものでは手術が必要になります。
保存的療法
局所の安静、薬剤内服、装具療法、運動療法など。
手術療法
骨折、脱臼などの外傷や腫瘤による圧迫が原因で麻痺が生じているものは、手術が行われます。一方神経自体に損傷のあるものでは、神経剥離、神経縫合、神経移植などの手術が行われます。神経に対する手術で回復の望みの少ないものは腱移行術などの再建術が行われます。
詳しくは整形外科医にご相談ください。
※日本整形外科学会「橈骨神経麻痺」より画像を引用しています。